放課後、秘密の特別教室。〜イケメンな精霊たちは、私をあきらめない〜
第14章:屋上の決戦、そして彼女の救済
バァン! と千歳くんが屋上の重い扉を蹴破った。
そこに広がっていたのは、いつもの屋上ではなかった。
空は赤黒く染まり、巨大な黒い霧の渦が、屋上の中央にいる一人の女の子を繭(まゆ)のように包み込んでいる。
「松下さん……!」
私の声に、霧の繭がピクリと反応した。
繭の中心から、虚ろな目をした松下さんがゆっくりと顔をのぞかせた。
「小鳥遊さん……? どうしてここに……。私、もう疲れたの。どれだけ頑張っても、誰も私を認めてくれない。みんな、私に面倒なことを押し付けるだけ……。私なんて、最初からいなければよかったんだよ……!」
「そんなことない!」
私は叫んだ。自分でも驚くほど、大きな声が出た。
「私、松下さんがいつもクラスのために頑張ってくれてるの、知ってるよ! 学級文庫のときも、みんなのために面白い本を選ぼうって、一生懸命考えてくれてたじゃない! 私……松下さんのこと、すごく格好いいなって思ってたんだよ!」
それは、私の本心だった。自分に自信がない私にとって、責任感を持ってクラスを引っ張る松下さんは、ずっと憧れの存在だったのだ。
「小鳥遊さん…………」
松下さんの目に、一瞬だけ涙が浮かんだ。
しかし、彼女の心の隙を狙うように、周囲の黒い霧が激しく咆哮し、彼女を完全に飲み込もうと巨大な大蛇の形となって襲いかかってきた。
「ギ、シャァァァァッ!!」
「これ以上、彼女の心を弄ぶのは、医療従事者(保健室の精霊)として見過ごせないね」
千歳くんが私の前に立ち、その長身を揺らした。彼の左目の下の泣きぼくろが、赤黒い世界のなかで妖しく光る。
「みんな、最後の仕上げだよ。マスターの鍵を中心に、全エネルギーを同調させて」
「了解だ」と蓮くんがメガネを光らせる。
「ボクの最高のクライマックスを見せてあげる!」と響くんが叫ぶ。
「物語の結末を、僕たちが今、書き換える」と司くんが微笑む。
私は四人に囲まれながら、真鍮の古い鍵を、天に向かって思い切り突き出した。
「みんな……お願い! 松下さんの心を、助けて……っ!!」
その瞬間、鍵からこれまでで最も強烈な、まるで夜明けの太陽のような黄金色の光が爆発した。
その光は四人の精霊たちへと流れ込み、彼らの姿を神聖な光の衣装へと変貌させる。
「科学の光よ、負の結合をすべて分解せよ!」(蓮)
「芸術の調べよ、彼女の魂を癒しなさい!」(響)
「言葉の力よ、彼女の絶望を希望に書き換えろ!」(司)
「聖なる霧よ、すべての傷を優しく包み込んでおくれ」(千歳)
四人の放つ究極の浄化の力が、一つに溶け合い、巨大な光の鳳凰(ほうおう)となって、黒い大蛇へと突撃した。
ドガァァァァァン……!!!
世界が白い光で満たされる。
黒い霧は、悲鳴を上げる暇もなく、その圧倒的な光の前にサラサラとした綺麗な光の粒子となって消滅していった。
そこに広がっていたのは、いつもの屋上ではなかった。
空は赤黒く染まり、巨大な黒い霧の渦が、屋上の中央にいる一人の女の子を繭(まゆ)のように包み込んでいる。
「松下さん……!」
私の声に、霧の繭がピクリと反応した。
繭の中心から、虚ろな目をした松下さんがゆっくりと顔をのぞかせた。
「小鳥遊さん……? どうしてここに……。私、もう疲れたの。どれだけ頑張っても、誰も私を認めてくれない。みんな、私に面倒なことを押し付けるだけ……。私なんて、最初からいなければよかったんだよ……!」
「そんなことない!」
私は叫んだ。自分でも驚くほど、大きな声が出た。
「私、松下さんがいつもクラスのために頑張ってくれてるの、知ってるよ! 学級文庫のときも、みんなのために面白い本を選ぼうって、一生懸命考えてくれてたじゃない! 私……松下さんのこと、すごく格好いいなって思ってたんだよ!」
それは、私の本心だった。自分に自信がない私にとって、責任感を持ってクラスを引っ張る松下さんは、ずっと憧れの存在だったのだ。
「小鳥遊さん…………」
松下さんの目に、一瞬だけ涙が浮かんだ。
しかし、彼女の心の隙を狙うように、周囲の黒い霧が激しく咆哮し、彼女を完全に飲み込もうと巨大な大蛇の形となって襲いかかってきた。
「ギ、シャァァァァッ!!」
「これ以上、彼女の心を弄ぶのは、医療従事者(保健室の精霊)として見過ごせないね」
千歳くんが私の前に立ち、その長身を揺らした。彼の左目の下の泣きぼくろが、赤黒い世界のなかで妖しく光る。
「みんな、最後の仕上げだよ。マスターの鍵を中心に、全エネルギーを同調させて」
「了解だ」と蓮くんがメガネを光らせる。
「ボクの最高のクライマックスを見せてあげる!」と響くんが叫ぶ。
「物語の結末を、僕たちが今、書き換える」と司くんが微笑む。
私は四人に囲まれながら、真鍮の古い鍵を、天に向かって思い切り突き出した。
「みんな……お願い! 松下さんの心を、助けて……っ!!」
その瞬間、鍵からこれまでで最も強烈な、まるで夜明けの太陽のような黄金色の光が爆発した。
その光は四人の精霊たちへと流れ込み、彼らの姿を神聖な光の衣装へと変貌させる。
「科学の光よ、負の結合をすべて分解せよ!」(蓮)
「芸術の調べよ、彼女の魂を癒しなさい!」(響)
「言葉の力よ、彼女の絶望を希望に書き換えろ!」(司)
「聖なる霧よ、すべての傷を優しく包み込んでおくれ」(千歳)
四人の放つ究極の浄化の力が、一つに溶け合い、巨大な光の鳳凰(ほうおう)となって、黒い大蛇へと突撃した。
ドガァァァァァン……!!!
世界が白い光で満たされる。
黒い霧は、悲鳴を上げる暇もなく、その圧倒的な光の前にサラサラとした綺麗な光の粒子となって消滅していった。