放課後、秘密の特別教室。〜イケメンな精霊たちは、私をあきらめない〜
第15章:新しい日常と、終わらない取り合い
気がつくと、私はいつもの、夕暮れの穏やかな学校の屋上に立っていた。
空は綺麗なオレンジ色に戻り、心地よい放課後の風が、私たちの髪を揺らしている。

「あ、あれ……? 私、何をしていたのかしら……」
床に座り込んでいた松下さんが、不思議そうに自分の手を見つめていた。その表情からは、昨日までのあのどんよりとした暗さは完全に消え去り、すっきりとした本来の彼女に戻っていた。

「松下さん!」
私が駆け寄ると、松下さんは驚いたように目を見張った。

「小鳥遊さん……? 私、なんだかすごく長い悪夢を見ていた気がするの。でも、君が私を呼んでくれた声だけは、はっきりと覚えてる。……私、君に酷いことを言わなかった?」

「ううん、何も言ってないよ。松下さん、最近疲れてたみたいだから……。明日からは、無理しないで、私にも仕事を半分押し付けてね?」

私が微笑むと、松下さんは一瞬呆然とした後、嬉しそうに涙を流して笑った。
「うん……ありがとう、小鳥遊さん。私、明日からまた、頑張れそう」

松下さんが新館の階段を降りていくのを見送ったあと、私は旧館の方を振り返った。
そこには、いつものように、異なる魅力を持った四人の美少年たちが、私を待って立っていた。

「よくやったな、マスター。お前のあの非論理的な叫びが、結果的に最大の効果をもたらした。……まぁ、僕の計算通りではあるがな」
蓮くんが腕を組みながら、少し照れたようにメガネの位置を直した。

「紬ちゃん、本当に格好よかったよ! ボク、ますますキミのことが好きになっちゃった。ねえ、今から音楽室で、二人だけの祝勝会をしよう?」
響くんが私の腰に手を回し、自分のほうへと引き寄せる。

「ダメだよ、響。紬ちゃんは僕の言葉で癒されるべきだ。さあ、図書室へ行こう。君のために、とっておきのファンタジー小説を用意してあるからね」
司くんが私の空いている方の手をそっと握り、大人のような、けれど少し意地悪な微笑みを浮かべる。

「はは、二人とも強引だなぁ。でも、一番頑張った紬ちゃんを休ませてあげるのは、保健室の役目だと思うんだけど?」
千歳くんが後ろから私の頭を優しく包み込み、耳元でクスリと笑った。

(わ、わわわ……っ! 結局、終わってもこの状態なんだから……!)

四人のイケメンたちに囲まれ、あちこちから引っ張られながら、私の顔は再び真っ赤に染まっていく。
でも、昨日までの「空気」みたいだった私とは、もう違う。
ポケットの中の古い鍵は、これから始まる、もっともっと賑やかで、最高にドキドキする毎日の予感に、あたたかく、そして力強く胸の奥で響き続けていた。

「みなさん、これからも……私の側にいてくださいね!」

私が勇気を出してそう言うと、四人の精霊たちは、お互いに視線を交わして苦笑いしながらも、私に向かって、世界で一番甘くて優しい、最高の笑顔を返してくれたのだった。
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