ひとつだけ違う朝〜誘拐犯の娘として虐げられた私が、本物の家族を取り戻すまで〜
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次の日から、いろははまた学校を休んだ。
部屋からも出てこなくなった。
その間に私の部屋が蓮見家に用意された。
物置になっていた部屋だったが、片付けたらとても綺麗で、十分だった。
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「ベッドが欲しいです!」
私は要求した。
図々しいことはもう隠さないことにした。この性格は、翔樹と"おそろい"だし。
「ベッド憧れなんです」
「分かったわ」
「すぐに買いに行こう」
父も母も、私が我儘を言うことが嬉しいみたいで、いつも柔らかい表情になる。
他にも、綺麗なドレッサーや本棚、勉強机にテーブル……
いろんな家具が次々入ってきた。
私の居場所が完成しつつあった。
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ある日の夕方のこと。
そっとひとり外へ出たいろはに、決意を持って近づいた。
いろはは旅館の外周に足を向けた。
客の散策路にもなっている整えられた小道を歩き、テマリシモツケが植えられている横の縁石に腰を下ろした。
私が付いてきたことには気づいていたのだろう。その隣に座っても何も言わなかった。
秋の虫音が四方から聞こえていた。
鳥の地鳴りも近くにある。
「――明日は学校、行けそう?」
静かに話しかけた。
いろはは明後日の方を見ながら言った。
「どうかな」
「……」
なんだか、ここ数日でいろはが急に大人になってしまった気がした。
突っかかってこないなんて、いろはじゃないみたいだ。
それだけいろんなことを考え続けたのだろう。