冷静な天才外科医の弱点は、私でした
けれど、さっきまで大勢の人がいた会議室で話すのとは少し違った。
静かすぎる。
そのせいか、近くにいる彼の存在だけが、妙にはっきり感じられた。
「……という理由です」
説明を終えると、宗形先生が資料へ視線を落とした。
長めのまつ毛が影を落としたその顔に、若い女性患者たちがため息をつくのがわかってしまう。
「なるほど」
「他にご質問はありますか?」
「いえ」
少し間を置いて、頷いた。
「よく調べていますね」
「仕事ですから」
「そういうところです」
「え?」
彼が顔を上げる。
「仲山さんは、必要なことを必要なだけ調べる」
「それ、褒めてます?」
「褒めています」
思わず笑ってしまった。
「先生、意外とちゃんと褒めるんですね」
「意外ですか?」
「もっと厳しい人かと思っていました」
「厳しいですよ」
「自分で言うんですか」