冷静な天才外科医の弱点は、私でした
「人手が足りません」
「わかりました。募集をかけましょう」
「夜勤が増えるのが不安です」
「そこは調整します」
「今の業務が回らなくなる可能性があります」
「では、そこから見直しましょう」
淡々としているけれど、誰一人として置いていかない。
最後には、最初に反対していたスタッフまで、
「それなら、やってみます」
と納得していた。
そして何より、手術室に入ったときの彼が普段とは何も変わらないことに驚いた。
遠隔モニターで、手術の様子を別室で観察した日のことだ。
手術着を着た宗形先生は、会議と同じで無駄な言動が一つもない。
指示は短く、正確。
周囲のスタッフへの声かけも的確で、緊張感のある手術室の中で、彼だけが時間の流れを違うものにしているようだった。
私は直接手術をするわけではない。
だから、医療技術のすごさを具体的に理解できるわけでもない。