冷静な天才外科医の弱点は、私でした



「人手が足りません」

「わかりました。募集をかけましょう」

「夜勤が増えるのが不安です」

「そこは調整します」

「今の業務が回らなくなる可能性があります」

「では、そこから見直しましょう」


 淡々としているけれど、誰一人として置いていかない。

 最後には、最初に反対していたスタッフまで、


「それなら、やってみます」


 と納得していた。

 そして何より、手術室に入ったときの彼が普段とは何も変わらないことに驚いた。

 遠隔モニターで、手術の様子を別室で観察した日のことだ。

 手術着を着た宗形先生は、会議と同じで無駄な言動が一つもない。

 指示は短く、正確。

 周囲のスタッフへの声かけも的確で、緊張感のある手術室の中で、彼だけが時間の流れを違うものにしているようだった。

 私は直接手術をするわけではない。

 だから、医療技術のすごさを具体的に理解できるわけでもない。


< 23 / 79 >

この作品をシェア

pagetop