冷静な天才外科医の弱点は、私でした



 助けてほしいのに、「大丈夫」と言ってしまう人。

 そういう人を見つけるのが、私は昔から得意だった。

 だから、


「先生が無理しているの、わかりますよ」


 そう言った。

 できるだけ、優しく穏やかな声で。

 宗形先生は、しばらく栄養ドリンクを見つめていた。

 そして、


「……ありがとうございます」


 小さな声が聞こえた。

 そのとき、私は受け取ってもらえたことに安心するばかりで気づかなかった。

 彼が、その一言をどれだけ大切に受け取ったのか。

 宗形圭という人は、いつも周囲から「すごい」と言われている。

 天才。

 名医。

 頼れる先生。

 完璧な外科医。

 でもそんな言葉をかけられている人ほど、「疲れているでしょう」と言われることは少ないのかもしれない。

 その日からだった。

 宗形先生の私を見る目が、少しだけ変わったのは。


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