冷静な天才外科医の弱点は、私でした
「先生も遅いですよ」
「俺は仕事がありますから」
「私にもあります」
「でも、君は帰れるでしょう?」
「先生も帰れます」
「……」
宗形先生が目を泳がせたから、私は笑った。
「先生、自分には甘いですね」
「君に言われたくない」
「どうして?」
「君も十分、自分に甘くないから」
「……」
言い返せなかった。
どうやらお互い様らしい。
「ほら」
宗形先生が私のデスクに置いていた資料をまとめる。
「今日は終わり」
「先生、せめてもう少しキリのいいところまで」
「急ぎですか?」
「……明日の朝でも間に合います」
「なら、なおさら帰るべきでしょう」
「……わかりました」
仕方なく立ち上がる。
そのときだった。
「仲山さん」
「はい?」
「これ」
宗形先生が何かを差し出した。
自販機で買ったらしい飲み物。