冷静な天才外科医の弱点は、私でした



「……カフェラテ」


 私は目を瞬く。

 いつも私が飲んでいるものだった。


「どうして?」

「好きだったでしょう」

「……知ってたんですか?」

「君がいつも飲んでるから」


 何でもないことのように言う。

 私は缶を見つめた。

 確かに、私はこれをよく飲む。

 でも、まさか覚えられているとは思わなかった。


「よく見てるんですね」


 何気なく言うと、宗形先生が一瞬だけ黙った。


「……仕事だから」

「飲み物の好みまで?」

「……」

「先生?」

「何でもありません」


 そう言って、彼は先に歩いていった。

 私はその背中を見ながら、首を傾げる。


 (変なの)


 でも、少しだけ嬉しかった。


「ありがとうございます」


 声をかけると、宗形先生が振り返る。


「どういたしまして」


 その表情は、ほんの少しだけ柔らかかった。


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