冷静な天才外科医の弱点は、私でした
3.完璧な男が崩れるとき
持ちつ持たれつなだけ
新センターの立ち上げが本格化するにつれ、宗形先生の忙しさは増していった。
プロジェクトの会議にスタッフとの調整、新しい設備の選定や海外の医療機関との打ち合わせ。
そして、本業である手術。
私は何度も思った。
――この人、いつ寝ているんだろう。
そんな心配をよそに、本人はいたって平然としている。
「宗形先生、来週のスケジュールですが」
「はい」
「この日、センターの会議と手術が重なっています」
「会議は変更しましょう」
「でも、そのあと海外とのオンライン会議も」
「それは予定どおりで」
「先生、休みは?」
「あります」
「いつですか?」
宗形先生が視線を逸らした。
私は逃がさないとばかりにじっと見る。
「先生?」
「日曜日です」
「それ、休みですか?」
「休みでしょう」
「予定が入っていないだけじゃなくて?」