冷静な天才外科医の弱点は、私でした



 宗形先生は口を開きーー結局何も言わずに閉じてしまった。


「やっぱり」


 私はため息をついた。


「ちゃんと休んでくださいね」

「わかっています」


 そう言ってるけれど、これは絶対にわかってない。

 ロボットではなく人間なのだから、休息は必要なのに。

 翌週にかなり難しい手術を控えていることを知っているから、余計に落ち着かない。

 その手術は、内容を聞いただけでも、私には相当な集中力が必要になることがわかった。

 けれど、宗形先生はいつもと変わらなかった。

 スタッフには的確に指示を出し、会議では淡々と話し、誰かに不安を見せることもない。

 だから、その夜、誰もいなくなった会議室で二人きりになったとき。

 宗形先生がふいに言った、


「……少し疲れました」


 という言葉に、私は顔を上げた。


「え?」


 彼は窓の外を見ていた。


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