冷静な天才外科医の弱点は、私でした
その数日後、私は病院の上層部との交渉で、完全に行き詰まっていた。
心臓病治療センターの第二段階に必要な予算は、現場としては必要不可欠。
けれど、経営側からすると簡単には認められない金額だった。
「仲山さん、これ以上の増額は難しい」
「ですが、この人員数では――」
「宗形先生の意見はわかっています」
「では、せめて――」
「これ以上は検討できません」
会議室を出た私は、深く息を吐いた。
悔しいーーだけど、わかっている。
相手の言っていることも正しい。
だからってここで諦めれば、現場にしわ寄せがいく。
(もう一度、やってみるか……)
私は一人で資料を作り直すことにした。
夜遅くまで残り、数字を洗い直し、別の補助金制度を調べ、人件費の試算を組み直す。
何とか突破口を作ろうとした。
「また残業ですか?」
この前のように、後ろから声をかけられた。