冷静な天才外科医の弱点は、私でした



「先生こそ」

「俺が先に質問しましたよ」

「……残業です」

「何に時間がかかってるんですか?」


 私が事情を説明すると、宗形先生は黙って資料を手に取る。


「この数字の根拠は?」

「過去三年の平均です」

「なら、こっちは?」

「最悪ケースを想定しています」


 宗形先生は資料を何枚かめくった。


「これ、明日までに必要?」

「はい」

「……そうか」


 それだけ言って、彼は去っていった。


 (なんだったんだろう?)


 私は首を傾げながら、今日できる分だけ手をつけることにした。

 ……明日は千春に相談してみるか。

 そう思いながら。

 そして翌朝、出勤すると私のデスクに大量の資料が置かれていた。


「……何これ」


 見覚えのない症例データや患者数の推移、近隣病院からの紹介実績に今後の手術件数予測。


「すごい……」


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