冷静な天才外科医の弱点は、私でした



 私を「弱い女性」として扱うこともしない。

 ただ、私が自分の力で立てるように、必要なところだけ支えてくれる。

 それが、たまらなく嬉しかった。

 その日の交渉は無事に終わり、予算の一部増額を勝ち取ることができた。

 会議室を出た私を待っていたのは、千春だった。


「どうだった?」

「通った」

「本当に?」

「うん」

「よかったじゃん!」


 千春が私の手を取り笑う。


「……宗形先生のおかげだけど」

「へえ」

「どうかした?」

「別に」


 私の顔をじっと見た千春が微笑んだ。


「ひかる、今すごく嬉しそう」

「仕事が上手くいったから」

「ふーん」

「何よ」

「仕事ねえ」

「……千春」


 千春は笑いながら私の肩を叩いた。


「まあ、いいんじゃない?」

「何が?」

「今はまだ、それで」


 その意味がわからなくて、私は首を傾げた。


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