冷静な天才外科医の弱点は、私でした



 声には出さず、私の心を案じてくれている。

 そんな表情だった。

 私は小さく頷く。

 ここで怯んでいる場合じゃない。患者さんたちの命がかかってる。


「次に、人員です」


 スクリーンを切り替える。


「専門医、看護師、臨床工学技士。必要な人員をすべて一度に増員する計画になっています」

「必要な人員です」


 また同じような答えに、私は思わず彼を見る。

 しっかり黒々した目と合って、口の中が渇きそうになった。


「人員は採用して終わり、ではありません」

「わかっています」


 一瞬だけ言葉に詰まる。

 けれど、そのまま続けた。


「人件費は毎年発生します。患者数が想定を下回った場合でも、給与は必要です」


 資料を一枚めくる。


「センターを作った。でも、五年後、十年後に維持できなくなったら、一番困るのは患者さんです」

「患者は待ってくれない」


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