冷静な天才外科医の弱点は、私でした
翌日、私は資料を届けに医局を訪れていた。
「宗形先生」
「はい」
「昨日、高瀬先生から聞いたんですけど」
資料を差し出し、説明する。
「人員配置の件、少し変更があるそうです」
「わかりました」
宗形先生はいつも通り、すました顔で資料を受け取った。
「ありがとうございます」
「高瀬先生、この間の会議ですごく助かったって言ってました」
「……そうですか」
「はい」
「仲山さんは」
「はい?」
「高瀬先生とは、昔から仲がいいんですか?」
「え?」
「いえ」
宗形先生はすぐに資料へ視線を戻した。
「何でもありません」
私は不思議に思ったけれど、経理課から去年の財務データをもらわなくてはならないことを思い出し、その場をあとにした。
どうして高瀬先生との仲を言及してきたのか。
深掘りしても碌なことにならないと、無意識に思ったわけじゃない、決して。