冷静な天才外科医の弱点は、私でした



 それから、宗形先生は私と高瀬先生の関係を探るようになった。

 最初は、会議後のちょっとした雑談に質問を混ぜてくるだけだった。

 高瀬先生とは、いつから知り合いなのか、どれくらい親しいのか。

 そんな程度だけれど、答えれば答えるほど気になるみたいだった。

 例えば、昼休み。

 高瀬先生が私のデスクにやってきた。


「仲山さん、これ頼まれてた資料」

「ありがとうございます」

「それとこの前言ってた店、来週の金曜どう?」

「えっと……」


 予定がないか手帳を取り出した瞬間、宗形先生が経営企画部に顔を出した。


「宗形先生?」


 何事かと私は腰を浮かせた。


「……どうかしましたか?」

「いえ」


 宗形先生はすぐに踵を返した。


「何でもありません」


 その姿が、なぜか迷子のように頼りなくて。

 声をかけたくても、どうすればいいのかわからなかった。



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