冷静な天才外科医の弱点は、私でした
そして、通算何度目かの会議後。
高瀬先生に声をかけられた。
「仲山さん、今日も帰り遅い?」
「たぶん」
「じゃあ、飯――」
「仲山さん」
気づけば、背後にいた宗形先生が口を挟んでいた。
二人で振り返る。
「はい?」
「今日の資料ですが、少し質問いいですか?」
「今ですか?」
「はい」
「わかりました」
私は高瀬先生に向き直った。
「すみません。また今度」
「うん。じゃあ、また連絡する」
高瀬先生が去っていくのを横目に、私は宗形先生に小声で話しかけた。
「先生」
「はい」
「資料の話じゃないですよね?」
「……」
「もしかして」
私は唇を湿らせた。
「私たちの邪魔しました?」
「そんなことは」
宗形先生は即答したけれど、その目が揺らいでいるのを私は見逃さなかった。
……存外、わかりやすい人なのかもしれない。