冷静な天才外科医の弱点は、私でした



 その横顔を見ているうちに、私ははっきりとわかった。

 この人は、私が思っていたよりずっと不器用だ。

 何でもできる人なのに、私のことになるとこんなにも迷う。

 こんなにもわかりやすくなる。

 そして、そんな宗形先生を見ている自分も少しずつ変わっている。

 仕事中だというのに、頭の芯がぼんやりしてしまう。

 そのくせ、その状態が気持ちがいいのだからどうしようもない。


「先生」

「はい?」

「……私も」


 言いかけて、やめた。


「何でもありません」

「そうですか」


 宗形先生は追及しなかった。

 ただ、少しだけ笑った。

 その笑顔を見ながら、強く思う。


 ――この人に、もっと私だけの顔を見せてほしい。


 そして、いつか私もこの人にだけ見せる顔を持てたらいい。

 そんな気持ちが恋なのだと。

 私はまだ、認められずにいた。


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