冷静な天才外科医の弱点は、私でした



 翌日、私は書類を届けるために、宗形先生の部屋へ向かった。

 本当は、ただ渡して帰るつもりだったのに、扉の前で足が止まってしまう。

 聞くか聞かないか迷い、結局ノックした。


「どうぞ」

「失礼します」


 宗形先生が、デスクに向かっていた。


「こちら、お願いします」

「ありがとう」


 先生が書類を受け取る。

 いつもならすぐに確認するのに、今日はページを開かなかった。


「仲山さん?」


 宗形先生が、不思議そうに私を見る。


「何か?」

「……いえ」


 私は一礼して帰ろうとする。


「あの、仲山さん」


 呼び止められて、振り返る。


「はい?」


 宗形先生は何か言おうとして、口を閉じた。

 デスクの上のスマートフォンが目に入る。

 その画面には、私とのメッセージ履歴があった。

 宗形先生は一瞬だけ画面を見て、すぐに伏せてしまう。


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