冷静な天才外科医の弱点は、私でした
午後三時五十分、内線が鳴った。
「仲山です」
『手術室です。緊急です』
上擦った声に、私は椅子から立ち上がる。
「何がありました?」
『出血が止まりません』
『追加輸血が必要です。今の出血速度だと、十五時五十三分頃には院内の血液が尽きます』
私は時計を見る。
(あと三分)
受話器を握る手に汗が滲んだ。
「わかりました。すぐ動きます」
私は医療連携担当を呼んだ。
「第一連携病院へ緊急要請。到着予定を確認してください」
「はい」
担当者が電話をかけて、やり取りを見守ること数十秒後。
「十五時五十五分です」
……第一便は間に合わない。
「第一便はそのままお願いします」
「はい」
「第二連携病院に連絡を」
私は即座に指示した。
「最短で届けられる量を要請してください。量より到着時間を優先して」