冷静な天才外科医の弱点は、私でした
「え?」
突然そんなことを聞かれて、私は目を瞬いた。
「七時くらい……ですけど」
「そう」
それだけで、圭はそれ以上何も言わない。
けれど、指にわずかに力が入ったのが見えた。
「先生?」
「何でもない」
いつもの声といつもの無表情ーーなのに、なぜかわかってしまった。
私が、高瀬先生と食事に行くのが嫌なんだ。
そう思った瞬間、胸の奥が妙に熱くなった。
「じゃあ、仲山さん。店、どうする?」
高瀬先生に聞かれて、私は圭を見ると圭も私を見ていた。
何も言わないし、止めもしない。
ただ、静かに私の返事を待っているその目が、ひどく真剣だった。
高瀬先生はそんな私たちを交互に見ると、ふっと笑った。
「なるほどね」
「……高瀬先生?」
そのとき、高瀬先生のポケットからスマートフォンの着信音が鳴った。