冷静な天才外科医の弱点は、私でした
「すべてをこの病院だけで処置せずに、症例によって役割を分担します」
宗形先生が資料を見つめる。
「いつから始められる?」
「第一段階なら、三か月後です」
「もっと早くは?」
私は少し考えた。
「……一か月半なら、可能性があります」
「なぜ最初に三か月と言ったんですか」
「安全に進められる期間だからです」
「なるほど」
短い返事をしてから、その涼やかな目元をもう一度資料に向ける。
「一か月半でやりましょう」
私は目を瞬いた。
「先生?」
「仲山さんが一か月半で可能だと言うなら、俺はそのために必要な医療側の準備をします」
――俺、という砕けた呼び方に、この人の本当の姿を見た気がした。
そこから始まり、設備の優先順位やスタッフの配置、救急搬送の導線に近隣病院との役割分担……。
気づけば、私たちは会議の本来の時間を大幅に超えて話し合っていた。