極上チャイナマフィアは、健気なカフェ店主を逃がさない
金は一般人のラインを超えた。
俺達と同じく薄汚い者達が生きる世界に、自ら飛び込んだ。ならば手加減をする必要はない。

「ドブ鼠には、黒幕や横の繋がりを全て吐かせる。そのあとは、海の向こうへ行く船に乗せる手配を頼む」

『かしこまりました』

「命は取らない。あくまで法の及ばない場所で、罪を償わせるだけだ」

本当はドブ鼠の命なんて知ったことではない。
ただ、茉莉が悲しむことはしたくない。
自然とそんな考えが出てきて、やっと理解した。
思わず足を止めて、夜空を見上げる。

そこには白く輝く月が、俺を照らしている。

茉莉こそ、俺が人でいられる縁(よすが)。
俺だけの春に咲く茉莉花(ジャスミン)。
なぜ、父亲(父上様)が一般人の母を選んだのか、分かった。
薄暗い世界にいても、この夜空に輝く月のように光がないと、闇に溶けてしまう。
それでは人でなくなってしまうからだ。

ふっと息を吐くと、足音が止まったことに気づいたのか、電話越しに陳が『どうかされましたか?』と聞いてくる。

「なんでもない。さぁ、今から忙しくなる。他の仕事もあるしな。さっさと鼠達を片付けるぞ」

『仰せのままに』

陳の微かに柔らかなトーンの声が耳朶をうったとき、ちょうど目の前にいつもの車が視界に入ってきたのだった。
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