極上チャイナマフィアは、健気なカフェ店主を逃がさない
お茶をゆっくとりと傾けると、会話が始まる。

「そういえば、角の乾物屋は先週からシャッターが下りていたな」

「あ、気づきました? 数年前に近くに大きな商業施設ができてから、閉めるお店が増えちゃって。空いた土地にはコンビニやドラッグストア、宿泊施設が次々と出来ちゃうんです」

「駅が近いからか」

「はい。都会で泊まるより安いので、外国旅行客の方にはここが便利みたいで。でも、昔ながらの雰囲気が変わっちゃったなって……」

カップを両手で包んでうつむくと、凌さんが静かに言った。

「だから茉莉は、この店で商店街に活気を戻したいのか」

「……はい。私が祖父母の店を継いだ以上、頑張りたいんです」

祖父母達が残してくれた食器は今も大事に使用している。今後も残してくれた硝子食器の魅力もお茶と一緒に伝えていきたい。そう思い直して、顔を上げる。

「そうそう、海外の旅行客の人達が増えたおかげで、最近は抹茶を飲めるかってすごく聞かれるんです」

お互いに静かにお茶を飲みながら、会話を続ける。
ふうっと息を吐くたびに、お茶の良い香りが肺にも心にも満ちていくようだ。
ケーキとの食べ合わせも悪くない。

「抹茶需要は観光地ならどこも一緒だろうな」

こくりと上品にお茶を飲みながら、ケーキを食べる凌さん。
今日のケーキもお茶も、気に入ってくれたみたいで安心する。

「確かに抹茶を提供したら売り上げ的にはいいと思うんですけど。こう、お茶はやっぱり落ち着いて味わって欲しいというか。烏龍茶や台湾烏龍茶の奥深さを知って欲しくてっ」

「茉莉は日本人なのに、日本茶じゃなくて烏龍茶が好きなんだな」

「はい。祖父母や両親がお茶が大好きで。小さな頃から色んなお茶が家にあったんです。それで私の推しがたまたま、烏龍茶になっただけです」
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