公爵様に、「父親と歳が近い男は嫌だろう?」と言われましたが、私そんなに若くないですけど。
◇

邸宅に戻り、シエナと話した事を前公爵夫人と執事のアーサーに話すと、二人ともあんぐりと口を開けた。

「なるほど……!そういうことね。私はほとんど帝都の社交界に顔を出さないから気付かなかったわ」
「ええ。私も納得がいきました」

ルークスも頷く。
「ええ。シエナ嬢の言うことに、私も自身を顧みました。自分から努力せねばならないと改めて思いました」

夫人とアーサーは呆れた表情でルークスを見た。夫人が額に手を当てて短く息を吐いた。

「そこではないけれど、そう思ったなら良い傾向です。それで、そのご令嬢はどちらのご令嬢なの?」

「あ、聞いておりませんでした。ファーストネームしか」
「本当に呆れた子ね。ここ3年、夜会に参加して、まともに会話したのはそのご令嬢くらいでしょう。その方を逃がしてはいけません」

ルークスは慌てた。
「そうは言っても、彼女は社交界デビューを果たしたばかりのご令嬢でした。私とは歳が離れすぎております」
ルークスの言葉に夫人が怯む。
「う……!そうなの?でも……諦められないわ。お名前だけでも確認しましょう。アーサー」
「畏まりました」

夫人の言葉にアーサーが一礼して部屋を出て言った。止める間もなかったが、なぜかルークスも夫人の『諦めきれない』という言葉に同意してしまったのだ。出来る事なら、シエナともう一度会って話がしてみたかった。

(なにも交際を申し込もうという訳ではない。もう一度会って、前向きになれたことのお礼が言えたら)

自分でも都合の良い考えをしていることに気付いていたが、ルークスはそれ以上考えるのをやめた。



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