公爵様に、「父親と歳が近い男は嫌だろう?」と言われましたが、私そんなに若くないですけど。
公爵家の力を持ってすれば、夜会に出席した令嬢の素性などすぐさま調べ上げる事が出来る。
母も相当焦っていたのか、次の日にはルークスはシエナと向き合ってお茶をしていた。
向かいに座るシエナは、昨日と違い緊張しているのか固まっている。
「……申し訳ありません。まさかノルマン公爵閣下とは知らず、昨日はとんだ失礼を」
シエナが頭をさげてそう言うので、ルークスは慌てて否定する。
「いや、君が謝ることは何もない。顔を上げてくれ」
むしろお礼が言いたい程なのだ。どういう招待の仕方をしたのかとアーサーを睨む。
「えっ、お叱りの為に呼んだのでは?」
大きなラベンダーの瞳が少し潤んでいる。シエナの髪色は、明るい場所で見ると美しい藍色だった。見惚れているとアーサーが咳払いをした。
「ゴホン。閣下は些細な事でお怒りになる方ではありませんのでご安心を」
アーサーが視線を受け取り、ルークスは口を開いた。
「あ、ああ。昨日の事は特に怒っていない。貴方は何も失礼な事などしていなかった」
「そ、そうでしたか。でしたら安心しました」
シエナは安堵の息を漏らす。
「ん?でしたら何故私を?」
「……君と、その、もう少し話がしてみたくてだな」
「……え、何故でしょう?」
それはそうだ。疑問に思うのも無理もない。アーサーも、お茶の支度をしているメイド達も内心ハラハラしながら見守っている。
「ええと、私は女性が苦手なんだ。その、話もまともに出来ぬほど。君とは普通に話せたから……」