公爵様に、「父親と歳が近い男は嫌だろう?」と言われましたが、私そんなに若くないですけど。
◇

さらにひと月ほど経った頃。頻繁に来ていたシエナに、時々予定があるからと訪問を断れるようになってしまった。

断る時はしょんぼりして、ひどく残念そうに言うので、来たくない訳ではないらしい。


「予定とは、何があるんだ?」

久しぶり……と言っても一週間ぶりなのだが、堪えかねて聞いてしまった。

シエナは大きなラベンダーの瞳を瞬かせる。

「……気になりますか?」
「質問返しをするんじゃない」

ルークスがぴしゃりと言うと、シエナは困ったように言った。

「うーん……何故か最近、よくお茶会に誘われるんです」
「なに?」

ルークスの目が鋭くなったのに気付いたのかシエナは慌てて言った。

「あ、閣下とのお茶会みたいな感じではなく、令嬢達だけで開かれるものなのですが」

「そうなのか。社交デビューを始めたらそういう機会が増えるとは言うが」
「やっぱりそうなのですね」

(なんだ。男がいないお茶会なのだな)
安堵のため息をシエナに勘づかれないように慎重に漏らす。

「友人は出来そうか?」
「ええと……」
シエナにしては珍しく歯切れが悪い。

「なんだ?楽しい会ではないのか」
「うーん」
シエナはなんとも言えない顔をする。

「まあでも、最初はこんな感じなのでしょう。じきに慣れるはずです」

シエナは明るい。邸宅に訪れる時も快活で、使用人にも評判がいい。慣れてしまえばすぐに仲の良い友人が出来るだろう。

(しかしその時には、自分はシエナにとって二の次の存在になってしまう)

32にもなって、なんて腑抜けた考え方なのか。心中で叱咤したものの、沈んだ気分はなかなか戻らなかった。


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