縁綴り~御曹司は五年越しの妻を愛でる~
両親の四十九日が過ぎ、ほんの少しだけ気持ちが落ち着いた。

とはいえ、いまだ現実を受け止められず眠れない日がある。

不安と悲しみ、寂しさや戸惑い、様々な気持ちが前触れもなく急激にこみ上げてくる。

そんな私に祖父母は両親について教えてくれた。

なぜこれまでまったく会わなかったのかその理由も含めて。

恐らくそれは、母が将来私に打ち明けようとしていたものだった。

私の両親はいわゆる駆け落ち婚をしたという。

私が現在お世話になっている母の実家、緑松家は遠い過去に華族のご令嬢が嫁いでこられた由緒正しき家柄らしい。


『緑松製薬株式会社は知っている?』


『ええと、あの石けんやスキンケア用品が有名な?』


祖母の問いかけに、有名女優がSNSで愛用していると宣伝していた商品が脳裏に浮かぶ。

私の発言に祖父母がうなずく。


『そう、緑松製薬の創業家が緑松家なの』


あっさり言われて目を見開く。

業績など詳細は知らないが、緑松製薬はとても大きく有名な会社だ。

緑松製薬の商品はドラッグストアなど身近な場所でよく目にするし、祖母曰く、ハンドクリームなどの保湿商品をはじめスキンケア用品には定評があり、最近では化粧品開発にも力を注いでいるらしい。
< 10 / 12 >

この作品をシェア

pagetop