縁綴り~御曹司は五年越しの妻を愛でる~
『あなたに説明すべきことはたくさんあるのだけど、それは落ち着いてからにしましょう。悲しくてつらいけれど、あなたの両親をきちんと送り出してお別れをしましょう』


つらそうな表情を浮かべながら祖母が静かに告げる。

祖母の言葉に冷たい現実を突きつけられ血の気が引く。

祖母は私の手を変わらず優しく握ったまま、眠れているか、食事はとったかなどひとつひとつゆっくり尋ねてくれた。

祖母は私をひとりにできないと自宅に連れ帰ってくれた。

そこで初めて祖父に会った。

厳しく寡黙な印象を受けたが、私をとても心配していると祖母がこっそり教えてくれた。

祖母とともに一緒に会いに行こうとしてくれたそうだが、ふたりで押しかけてはさらに心に負担をかけるかもしれないと考え、自宅で待っていてくれたらしい。

そして、そのまま葬儀の手配、タクシー会社、警察とのやりとりなどすべて私の代わりに祖父母が行ってくれた。

自分の娘が亡くなり、とても悲しくつらいはずなのに、ふたりは私をなにより心配し優先してくれた。


それから九月の今に至るまで私は祖父母の自宅で過ごしている。

祖父母からはこのまま私がよければ一緒に暮らそうと言われている。

都内にある祖父母の自宅は大きな和風の邸宅で、私のために豪奢な部屋も用意してくれていた。

私より十センチ身長が高く、黒髪のショートカットがよく似合う明るい香恵は何度も連絡をくれ、祖父母の自宅まで会いに来てくれた。
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