縁綴り~御曹司は五年越しの妻を愛でる~
両親が突然いなくなった悲しみに耐えられず、今後どうすればいいかなんてまったくわからなかった。
課題も就職活動も考えられなかった。
大学で出会った親友の三角香恵や各所からひっきりなしに着信を知らせるスマートフォンに応答もできず、呆然とリビングで蹲っていた。
どれくらい時間が経ったのだろう。
ぼんやりした頭に自宅マンションのオートロック解除のための呼び出し音が鳴り響いた。
体も頭も重く、動く気にもなれなかったが、何度も鳴る音にのろのろと腰を上げた。
オートロックの呼び出し画面には、見知らぬ年配の女性が映っていた。
七十代くらいだろうか。
カメラを覗き込んだのか、悲壮感の滲む面差しが大きく映った際、母によく似ていて思わず目を見開く。
そのままなにも考えず無言でオートロックを解除すれば、ハッとしたように女性は私の名前を口にした。
そして私の自宅にやってきた。
『羽瑠!』
玄関ドアを開けた瞬間、女性が飛び込んできて細い手で私の手を握りしめた。
伝わる温もりにこの女性が誰であるかとか詳細はわからないのに胸が詰まり、なぜか力が抜けた。
母によく似た面差しに安堵したせいだろうか。
『怖かったでしょう。つらかったでしょう、すぐに来られなくてごめんなさいね。はじめまして、あなたのおばあちゃんよ』
初対面の祖母に驚くと同時に、なぜ母の面影を感じるのか理由がわかってホッとした。
課題も就職活動も考えられなかった。
大学で出会った親友の三角香恵や各所からひっきりなしに着信を知らせるスマートフォンに応答もできず、呆然とリビングで蹲っていた。
どれくらい時間が経ったのだろう。
ぼんやりした頭に自宅マンションのオートロック解除のための呼び出し音が鳴り響いた。
体も頭も重く、動く気にもなれなかったが、何度も鳴る音にのろのろと腰を上げた。
オートロックの呼び出し画面には、見知らぬ年配の女性が映っていた。
七十代くらいだろうか。
カメラを覗き込んだのか、悲壮感の滲む面差しが大きく映った際、母によく似ていて思わず目を見開く。
そのままなにも考えず無言でオートロックを解除すれば、ハッとしたように女性は私の名前を口にした。
そして私の自宅にやってきた。
『羽瑠!』
玄関ドアを開けた瞬間、女性が飛び込んできて細い手で私の手を握りしめた。
伝わる温もりにこの女性が誰であるかとか詳細はわからないのに胸が詰まり、なぜか力が抜けた。
母によく似た面差しに安堵したせいだろうか。
『怖かったでしょう。つらかったでしょう、すぐに来られなくてごめんなさいね。はじめまして、あなたのおばあちゃんよ』
初対面の祖母に驚くと同時に、なぜ母の面影を感じるのか理由がわかってホッとした。