あなたが私を忘れても、わたしはあなたを忘れない。
『桜井美月へ』

湊はその封筒を手に取った。

でも、開けることができない。

なぜなら。

この手紙を書いたのが、自分自身だということだけは分かっているから。

そして――

この手紙を書いた頃の自分が、今の自分よりも美月のことを知っている。

湊は目を閉じた。

「……美月」

その名前だけが、なぜか胸の奥に残っていた。
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