あなたが私を忘れても、わたしはあなたを忘れない。

第3話「知らない思い出」

翌朝。

私はスマートフォンを握ったまま、ベッドの上でぼんやりしていた。

昨日、湊に聞いた。

「三年前、何があったの?」

その答えは、

「何もない」

だった。

でも、あの顔。

何もない人の顔じゃなかった。

何かを隠している。

それだけは分かった。

私はスマートフォンを開く。

湊とのトーク画面。

最後に送られてきた、

【なんか、美月といると落ち着く】

というメッセージを見つめる。

三年前。

湊は突然、私の前から消えた。

電話にも出なかった。

メッセージにも返事をくれなかった。

私は何度も理由を考えた。

嫌われた。

他に好きな人ができた。

私が何かしてしまった。

いろんな可能性を考えた。

でも――

病気だったなんて。

そんなこと、一度も考えたことがなかった。
< 14 / 61 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop