あなたが私を忘れても、わたしはあなたを忘れない。
*

「お待たせ」

仕事終わり。

駅前で待っていると、湊が走ってきた。

「ごめん、遅れた」

「ううん。今来たところ」

「ほんと?」

「ほんと」

昔と同じ会話。

昔と同じ笑顔。

だけど、私たちは今、

「友達」ということになっている。

「今日はどこ行く?」

「美月に任せる」

「じゃあ……」

私は少し考えて、

「図書館、行かない?」

と言った。

湊が笑う。

「やっぱり本好きなんだ」

「うん」

「じゃあ、行こう」

二人で歩き出す。

その横顔を見ながら、私は思った。

もしかしたら。

もう一度、好きになってくれるかもしれない。

そんな期待をしてしまう自分が嫌だった。
< 15 / 76 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop