あなたが私を忘れても、わたしはあなたを忘れない。
本屋さんを出たところで、湊のスマートフォンが鳴った。

画面には、莉奈の名前。

湊は電話に出た。

「もしもし?」

『湊? 今、何してる?』

「美月といるよ」

電話の向こうが、一瞬静かになった。

『……そっか』

「どうした?」

『ううん。ちょっと聞きたいことがあって』

湊は少し話を聞いてから、

「分かった。また連絡する」

と言って電話を切った。

「莉奈ちゃん?」

「うん」

「何かあったの?」

「いや、今度病院に行く日を確認してくれた」

「そっか」

湊はスマートフォンをポケットにしまった。

「本当に、よく気にかけてくれるんだ」

その言葉に、私は笑って頷いた。

でも、胸の奥は少しだけ苦しかった。

私が湊のことを忘れずにいるように。

莉奈もまた、湊のことを大切に思っているのかもしれない。
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