あなたが私を忘れても、わたしはあなたを忘れない。




その笑顔は優しかった。

でも、その目は少しだけ潤んでいた。

「私ね」

莉奈が続ける。

「ずっと湊のことが好きだったんだ」

胸がぎゅっと締めつけられた。

「病気になってからも、そばにいられたらそれでいいって思ってた」

「……」

「でも、湊が本当に会いたかったのは、私じゃなかった」

莉奈は私を見た。

「美月ちゃんだったんだね」

私は何も答えられなかった。

嬉しいはずなのに。

湊が私を忘れていなかったことが。

私を大切に思ってくれていたことが。

どうしてこんなに、苦しいんだろう。

「……ごめんね」

気づけば、そう口にしていた。

莉奈は驚いた顔をした。

「どうして謝るの?」

「私が現れたせいで……」

「違うよ」

莉奈は静かに首を振った。

「美月ちゃんは何も悪くない」

そして、少しだけ笑った。

「私が勝手に好きになっただけだから」

その言葉が、余計に苦しかった。
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