あなたが私を忘れても、わたしはあなたを忘れない。

第7話「君が知らない私を、君は知っている」

湊と「約束」を交わした翌朝。

私は、いつもより少しだけ早く目を覚ました。

枕元に置いていたスマホを手に取る。

画面には、昨夜の湊とのやり取りが残っていた。

【忘れちゃってもいいから、また私を好きになってね】

【約束する】

たったそれだけの言葉なのに、何度読み返しても胸が温かくなる。

……本当に、約束してくれたんだ。

たとえ明日、私のことを忘れてしまっても。

また、私を好きになってくれるって。

そう信じたいと思った。

でも。

好きになればなるほど、怖くなる。

今の湊が好き。

笑った顔も、少し困ったように眉を下げるところも、私の話を一生懸命に聞いてくれるところも。

全部、好き。

だからこそ、いつかそれらを全部忘れられてしまったら。

私は、今度こそ耐えられるのだろうか。


スマホが震えた。

【美月、おはよう】

湊からだった。

【おはよう!】

すぐに返信すると、数秒後にまたメッセージが届く。

【今日、何してる?】

【特に予定ないよ】

【じゃあ、会いたい】

思わず笑ってしまった。

たった一言で、こんなにも嬉しくなれる。

私は、もう一度返信した。

【私も会いたい!】

送信してから、スマホを胸に抱きしめる。

今日も、湊に会える。

それだけで、今日はきっといい日になる。

そう思っていた。
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