あなたが私を忘れても、わたしはあなたを忘れない。
「……そのときは、また自己紹介するよ」
湊が私を見る。
「桜井美月です、って」
少しだけ笑って、続けた。
「好きなものはクラゲ。甘いものも好き。ちょっと泣き虫で、意地っ張りで……」
「意地っ張りなんだ?」
「そこは今、突っ込まなくていいの!」
湊が笑った。
私も笑った。
「それでね」
私は、握った手に少しだけ力を込めた。
「何回だって、湊に会いに行くよ」
湊の瞳が揺れた。
「……何回でも?」
「うん。何回でも」
本当は、怖い。
何度も忘れられることが。
何度も初対面に戻ってしまうことが。
それでも。
「だから、湊も何回でも私に恋してね」
湊はしばらく私を見つめていた。
そして、ゆっくりとうなずいた。
「……うん」
その手を、離さないでいてくれた。