あなたが私を忘れても、わたしはあなたを忘れない。
その日の帰り道。

駅の改札前で、私たちは別れた。

「また連絡するね」

「うん。待ってる」

湊はそう言って、私に手を振った。

私も手を振り返す。

改札を通り、何度か振り返ると、湊はまだそこに立っていた。

目が合うと、彼は少し恥ずかしそうに笑った。

……好きだな。

やっぱり、好き。

私は胸がいっぱいになりながら、駅を出た。

そのときだった。

「美月!」

聞き覚えのある声に振り返る。

「……颯?」

そこにいたのは、さっき電話で話したばかりの颯だった。

「やっぱり美月じゃん」

颯は笑いながら近づいてきた。

「偶然だな。誰かと会ってた?」

「うん。……彼氏、みたいな人」

言ってから、自分で少し照れてしまった。

彼氏。

まだ、正式にそう呼んでいいのかはわからない。

でも、私の中では、湊はずっと特別な人だった。

「そっか」

颯は笑った。

「美月がそんな顔するの、久しぶりに見た」

「そんな顔って?」

「好きな人のこと考えてる顔」

私は何も言えなくなった。

颯は昔から、こういうところがある。

冗談みたいに言うくせに、時々、驚くほど核心を突いてくる。
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