あなたが私を忘れても、わたしはあなたを忘れない。
「じゃあ、あとでね」
電話を切ると、颯が静かにこちらを見ていた。
「……いくの?」
「……うん」
「そっか」
颯は笑った。
「行っておいで」
「でも、颯……」
「大丈夫。また今度、話すから」
そう言って、彼は私の背中を軽く押した。
「ほら、早く行かないと」
私は何度も振り返りながら、その場を離れた。
颯は最後まで、笑って手を振ってくれていた。
その笑顔が、少しだけ切なかった。