あなたが私を忘れても、わたしはあなたを忘れない。
その夜。
家に帰ってからも、颯の言葉が頭から離れなかった。
『俺は、お前を泣かせたくない』
優しい言葉だった。
私が苦しんでいるとき、何も聞かずに隣にいてくれた。
無理に笑わせようとも、答えを出させようともしなかった。
ただ、私が泣き止むまで、そばにいてくれた。
……ありがとう、颯。
そう思った。
でも、スマホを手に取ると、私はやっぱり湊の名前を探してしまう。
会いたい。
声が聞きたい。
今日のことを話したい。
だけど、何から話せばいいのだろう。
私はしばらく迷ったあと、メッセージを送った。
【湊、今度の休み、会える?】
すぐに既読がついた。
【うん。会いたい】
短い返事。
それだけで、涙が出そうになった。
私は、もう一度スマホを握りしめた。
怖くても。
苦しくても。
やっぱり、湊が好きだった。