あなたが私を忘れても、わたしはあなたを忘れない。
同じころ。
莉奈は、自分の部屋でスマホを見つめていた。
画面には、湊とのメッセージが表示されている。
【最近、美月ちゃんと会ってる?】
少し迷ったあと、莉奈は返信した。
【……会ってるよ】
しばらくして、湊から返事が来た。
【そっか】
それから、もう一通。
【莉奈、俺さ】
【最近、美月といると、すごく安心するんだ】
莉奈の指が止まった。
【まだ知らないことばかりだけど、もっと知りたいって思う】
【また明日も会いたいって思うんだ】
その文章を見つめたまま、莉奈は唇を噛んだ。
知っていた。
湊が美月を大切に思っていることも。
自分では、その気持ちを止められないことも。
それでも。
【……そっか。よかったね】
そう返信するのが、精いっぱいだった。
スマホを伏せる。
涙が、一粒だけ落ちた。
「……私だって」
誰もいない部屋で、莉奈はつぶやいた。
「私だって、ずっと好きだったのに」
その声は、誰にも届かなかった。