あなたが私を忘れても、わたしはあなたを忘れない。
*
それから、私たちは何度か会うようになった。
映画を見たり。
一緒にご飯を食べたり。
本屋に行ったり。
昔とは違う。
でも、不思議なくらい楽しかった。
ある日、私たちは駅の近くの本屋にいた。
「美月って、昔から本好きだった?」
湊が聞いてくる。
私は一瞬、言葉に詰まった。
「……うん」
「やっぱり?」
「どうして?」
「初めて会ったときも、本持ってた気がする」
私は驚いて湊を見る。
「……覚えてるの?」
「いや」
湊は苦笑した。
「たぶん、写真とか記録を見たんだと思う」
「そっか」
「でもさ」
湊が一冊の本を手に取った。
「この本、なんか知ってる気がする」
それは、私が高校二年生のときに図書室で読んでいた本だった。
私の指が止まる。
「それ……」
「なに?」
「昔、私が好きだった本」
「へえ」
湊は笑った。
「じゃあ、読んでみようかな」
「……うん」
本を買って店を出る。
その帰り道。
湊が突然立ち止まった。
「美月」
「なに?」
「俺たち、本当に友達だった?」
心臓が大きく鳴った。
「……どうして?」
「なんとなく」
湊は少し困ったように笑った。
「写真を見ても、何か思い出すわけじゃないんだけど」
胸に手を当てる。
「美月といると、変なんだ」
「……変?」
「初めて会った感じがしない」