ラウル、パラレルワールドに行く!
「どうした?もう終わりか?」

模擬戦とはいえ、戦いの一つだ。剣や魔法に当たれば痛みは体に走り、怪我をすることも珍しくない。恐怖がジワジワとラウルの心に手を伸ばし始めていた。

『主人、降参するのか?』

ラウルの心境を見透かしたかのように、ケイが口を開く。その両目と視線が絡んだ刹那、ラウルの頭に前世でも友人だったルーチェ・クロウディアの言葉が蘇った。

「……諦めちゃ、ダメ。戦わないと、何もわからない……」

ラウルは杖を握り締める。それを見たケイは『それでこそ、私が見込んだ主人だ』と満足げに微笑んだ。ラウルは詠唱を口にしつつ、杖全体に魔力が流れ渡るように意識を集中させる。杖の先に光が集まっていった。

「すげぇな。この魔法は、流石に俺でも防げなさそうだ」

ギルバートが楽しげに笑う。ラウルも釣られるように口角を上げた。刹那、ガサリと木々の間から物音が響く。二人の意識は、一瞬にして音のした方に向けられた。

「モンスターか?」
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