ラウル、パラレルワールドに行く!
警戒の目をギルバートが向ける。数秒が、まるで数分のように感じられた。ヒュッと何かが風を切る。

「ッ!」

飛んできた「それ」が、ラウルの腹部に命中した。ラウルの腹部に痛みが走り、額に脂汗が浮かぶ。

「ラウル!!」

『主人!!』

ギルバートがラウルに駆け寄ろうとする。ラウルは自分に何が起きたのか理解できなかった。ただ、痛みに顔を顰めて呻き声を上げる。

(何?何が起きてるの?)

ラウルの足元に魔法陣が浮かび上がる。紫の光がラウルを包み込んだ。ケイが『主人!!』と叫びながら、光の中へ飛び込む。ギルバートはコンマ数秒、間に合わなかった。

光が消えた時、その場にラウルとケイの姿はなかった。



ラウルの意識がゆっくりと浮上していく。霞がかった頭で、ラウルは自分自身が今地面に倒れているのだとわかった。

(あの魔法陣は何だったんだろ……)

ケイが『主人』と言いながら、ラウルの顔や手をペロペロと舐める。ヤスリのようにザラついた舌に、ラウルの重い瞼がゆっくりと開いていった。ケイが安堵の息を吐く。
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