恋の模範解答を教えて~年下君の甘い執着に落とされまして~
確かに打ち合わせが増えれば、その分自分のデスクワークに割り振れる時間は削られる。常にタスクに追われているような感覚に陥るが、商社である以上、他部署や社外との調整作業を避けて通ることはできない。
「和香さんもこの間、珍しく早く上がってましたけど、基本残業続きですもんね」
ののかの何気ない一言に、和香の心臓がどきりと跳ね上がった。
その“珍しく早く帰った日”こそ、まさに帆高と大衆居酒屋へ飲みに行った日だったからだ。
あの日、仮の恋人協定を結んだことで連絡先を交換したのだが、それ以来、帆高からは毎日のようにメッセージが届くようになった。どう返信していいか分からず、和香は基本スタンプひとつで必死に対応している状態だ。
「そうだね。まあ……この間の投資先の収益改善案がちょうど一区切りついたから、これからは少しずつ早く帰れるようにしたいんだけど」
「あー!あの決算書とビジネスプランの練り直しですね!」
和香たちが所属する生活産業グループヘルスケア化学品本部は、大きく二つのチームに分かれている。海外のバイオ・製薬メーカーから原薬や医療機器を買い付けて国内へ供給する仲介チームと、将来性のある医療ベンチャーやクリニックチェーンへ出資し、経営支援拡大を担う事業投資チームだ。
和香は今年から、後者の事業投資チームでリーダーを任されていた。
今回提出を終えた投資先の収益改善案も、実は裏で帆高が多大なサポートをしてくれたおかげで迅速にまとまったものだった。
(……本当に、彼には助けられてばかりだな)
帆高の仕事の処理能力は群を抜いている。若手どころか、社内のハイスペックな中堅社員たちと比較しても頭一つ分抜き出ていた。
「そーだ!帆高さん、どこ行ったのかな〜」
ののかはすっと立ち上がると、しばらく自席を外している帆高を探すように、楽しげな足取りでフロアの奥へと歩いて行った。 その背中を見送るだけで、彼女が帆高に対して特別な好意を寄せていることは、鈍感な和香にすらハッキリと伝わってくる。
(……やっぱり、彼と“偽の恋人”なんて設定、無理があったんじゃ……)
周囲を巻き込んでしまう罪悪感と胸のモヤモヤを抱えながら、和香はどうしたものかと悩むようにパソコンの画面へと視線を戻した。
「和香さんもこの間、珍しく早く上がってましたけど、基本残業続きですもんね」
ののかの何気ない一言に、和香の心臓がどきりと跳ね上がった。
その“珍しく早く帰った日”こそ、まさに帆高と大衆居酒屋へ飲みに行った日だったからだ。
あの日、仮の恋人協定を結んだことで連絡先を交換したのだが、それ以来、帆高からは毎日のようにメッセージが届くようになった。どう返信していいか分からず、和香は基本スタンプひとつで必死に対応している状態だ。
「そうだね。まあ……この間の投資先の収益改善案がちょうど一区切りついたから、これからは少しずつ早く帰れるようにしたいんだけど」
「あー!あの決算書とビジネスプランの練り直しですね!」
和香たちが所属する生活産業グループヘルスケア化学品本部は、大きく二つのチームに分かれている。海外のバイオ・製薬メーカーから原薬や医療機器を買い付けて国内へ供給する仲介チームと、将来性のある医療ベンチャーやクリニックチェーンへ出資し、経営支援拡大を担う事業投資チームだ。
和香は今年から、後者の事業投資チームでリーダーを任されていた。
今回提出を終えた投資先の収益改善案も、実は裏で帆高が多大なサポートをしてくれたおかげで迅速にまとまったものだった。
(……本当に、彼には助けられてばかりだな)
帆高の仕事の処理能力は群を抜いている。若手どころか、社内のハイスペックな中堅社員たちと比較しても頭一つ分抜き出ていた。
「そーだ!帆高さん、どこ行ったのかな〜」
ののかはすっと立ち上がると、しばらく自席を外している帆高を探すように、楽しげな足取りでフロアの奥へと歩いて行った。 その背中を見送るだけで、彼女が帆高に対して特別な好意を寄せていることは、鈍感な和香にすらハッキリと伝わってくる。
(……やっぱり、彼と“偽の恋人”なんて設定、無理があったんじゃ……)
周囲を巻き込んでしまう罪悪感と胸のモヤモヤを抱えながら、和香はどうしたものかと悩むようにパソコンの画面へと視線を戻した。