恋の模範解答を教えて~年下君の甘い執着に落とされまして~
「謎だなぁ……」

 帆高と別れたあと、ガタゴトと揺れる夜の電車に一人揺られながら、和香は彼のちぐはぐな言動に思考を巡らせていた。
だが、どれほど一人で頭を抱えたところで“答え”など出るはずもない。追及したところで、あの上品な営業スマイルでのらりくらりと交わされるのが目に見えている。
 その時、手の中でスマートフォンが短い振動を返した。画面を覗き込むと、そこには母親からのメッセージが表示されている。

『今日の話だけど、また連絡するからちゃんと出なさいね』

 たった一行の短い文章。けれど、読んだ瞬間に着信拒否したくなるほどの重苦しい眩暈が襲ってきた。 深く息を吐き出し、電車内の窓ガラスに映る自分を見る。そこには、想像以上に疲れ切った情けない顔の女が映っていた。また無意識に、重い溜息が唇から零れ落ちる。

♢♢♢

「はぁ〜……今日も一日中、会議ですねぇ」
「まあ、打ち合わせも大事な仕事だからね。仕方ないよ」

翌日。
 自席で大きく背伸びをした橋川ののかが、天を仰ぐようにして愚痴をこぼした。
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