恋の模範解答を教えて~年下君の甘い執着に落とされまして~【完結】
「どうかした……?」

あまりに真っ直ぐ見つめられるものだから、和香はたまりかねて尋ねた。

「いえ。とても可愛らしいなぁ、と思いまして。そうやってパクパクと口を動かして食べている姿が」
「…そういうこと、朝から言うのやめてくれるかな。恥ずかしいっていうか……」
「思ったことは口に出した方がいいじゃないですか」
「それはそうなんだけど……」

 理由になっていない屁理屈に、和香は余計に恥ずかしくなって視線を明後日の方向へと逸らした。
しかし帆高は、口元に密やかな微笑を浮かべたまま、和香から一切視線を外そうとしない。

「……帆高くんって、本当にカッコいいよね」

 このまま一方的に弄ばれるのが悔しくて、和香は意地になって仕返しとばかりに褒め言葉を口にしてみた。だが、帆高は顔色ひとつ変えず、余裕のある口調でさらりと返してくる。

「ありがとうございます。和香さんに言われると嬉しいです。他の誰に言われても何も感じないですけど」
 さらりと重すぎる本音を混ぜ込まれ、結局また和香の方が赤面して撃沈する結果となった。
 朝食を終え、社内で噂になるのを避けるため、和香だけが先に帆高の部屋を出る準備を整えた。

 玄関に向かい、靴を履こうとしたところで、ふと思い出したように振り返る。

「あ、そうだ……。帆高くんの合鍵、預かったままでいいの?」
「いいですよ。だって、いつでも来られた方がいいでしょう?」
「まあ、そう…かな……?」
「できれば、和香さんの部屋の合鍵も欲しいくらいですけど」
「……」

 サラッと当然のようにねだられ、和香は返事に詰まった。まだ付き合い始めてから僅かな時間しか経っていないことを考えれば、安易に渡さないという選択肢一択な気もする。
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