恋の模範解答を教えて~年下君の甘い執着に落とされまして~
 頭を抱えていた難題を、彼はものの数時間で、しかも現地との直接交渉まで済ませて解決してみせたのだ。

「久東くん、いつの間にそんな交渉を……」
「和香さんが困っていたので。これで、国内の顧客へ提示する価格は据え置きでいけますよ」

帆高は当然のように言い放ち、優しく微笑んだ。

「あ、それから稟議書ですが、そちらも問題ないと思いますよ」
「え!? 稟議書も作ったの!?」
「はい。英文で作成しておきましたので心配ありません。明日にでも法務部に回してください」
「……嘘でしょ」

 簡単そうに言ってのけるが、そんなことはあり得ない。医療ベンチャーへの投資契約書は高度な専門用語と複雑な法的ロジックが絡むため、専門の法務部員でも作成に時間を要するのだ。
 和香でも数日はかかるし、提出しても修正依頼で結局一週間は潰れるはずだった。

「たぶん、修正箇所はないと思いますよ」
「……久東くんって、天才なの?」
「はは、全然ですよ。さ、帰りましょうか」
「……うん、そうだね」

翌朝。

 ベテランの法務社員すら「修正する箇所がない」と脱帽するほどの完璧な英文契約書を提出した和香は、周囲から驚愕の目で見られた。 「若手社員が作った」と伝えると大層驚かれたが、“久東帆高”という名前を出すと、誰もが「ああ、彼なら……」と深く納得した。

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