恋の模範解答を教えて~年下君の甘い執着に落とされまして~【完結】
「では、僕との結婚を受け入れてくれた、ということかな」

 その余裕めいた態度に、和香は冷ややかな視線を向け、そのまま踵を返して立ち去ろうとした。
しかし次の瞬間、何の前触れもなく強く肩を引き寄せられ、力任せに抱きしめられた。

「っ……ちょ、っ……なにを……」

 突如として包まれた身体の熱と、甘く重いコロンの香りに思考が一瞬フリーズする。

だが次の瞬間、拒絶感が全身を駆け巡り、和香は神楽坂の胸を必死で押し返した。
 乱れた呼吸を整えながら、和香はまっすぐに神楽坂を見据えて言い放つ。

「私はっ……自分の人生は自分で決める。今までだってそうしてきました。これからも、絶対にそうします」

 迷いのない瞳には、強くしなやかな意志が宿っていた。

 神楽坂は、一目散に足早で去っていく和香の背中を静かに見送る。
そして、その二人の姿を少し離れた物陰から見つめ、静かにスマートフォンのレンズを向けている人物がいることには、誰も気づいていなかった。

< 133 / 190 >

この作品をシェア

pagetop