恋の模範解答を教えて~年下君の甘い執着に落とされまして~【完結】
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 オフィスに到着してからも、和香の思考を支配していたのは妹の海のことばかりだった。
 あの子は無事だろうか。この状況を、どこまで帆高に打ち明けるべきなのだろう。

「……はぁ」

 自分でも呆れるほど、何度も深い溜息が漏れ出た。
山盛りの仕事を片付けようと意気込んで早朝出勤したはずなのに、少しでも気を抜くと不安と焦燥感が胸を締め付け、どうすべきなのかと未だ見ぬ未来におびえてしまう。

「和香さん」
「あ、帆高君。どうしたの?」
「どうしたの、じゃないですよ。もう三回くらい呼んだのに全然気づかないから」

 不意に声をかけられハッと顔を上げると、デスクのすぐ横から心配そうに覗き込んでくる帆高の顔があった。和香は咄嗟に表情を取り繕い、「ごめんね」とぎこちなく笑ってみせる。

「ちょっと仕事が立て込んでて、集中しちゃってた」
「嘘ですね。絶対に何かあったでしょう」
「……っ」

 和香は言葉を詰まらせた。
帆高の和香の心の中を覗くようなそんな目が時に心地よく、時に苦手だ。
嘘が付けないからだ。

「……あとで、ちゃんと話すね」

 和香はそれ以上隠し通すのを諦め、どこか力なく微笑みながら静かにそう告げた

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